白髪が生える原因、キッカケは人それぞれですが、その多くは「老化」や「加齢」などによって、身体の本来の機能が正常に働かないことが主な原因となっています。毛髪の色を決定するのには「メラニン色素」という成分が関係しています。「メラニン色素」は、毛母細胞上部に存在する「メラノサイト」の中にある「メラノソーム」で、アミノ酸の一つである「チロシン」に「チロシナーゼ」という酸化酵素が働きかけ、複雑な合成が行われた末に出来上がります。
簡単に言いますと「メラニン色素」という成分が髪に供給されることによって、髪の色が決定するという仕組みなのです。白髪の原因には、この「メラノサイト」や「メラノソーム」自体の減少や、「チロシナーゼ」の量や活性が低下、メラノソームの輸送阻害などが関係していると言われています。
白髪の原因はタバコ！？
よく「タバコ」を吸うと白髪が増えると言われていますがこれは本当です。
ニコチンによる血管の収縮
「タバコ」に含まれている「ニコチン」には、血管を収縮させる作用があります。「ニコチン」の血管収縮作用によって血管が縮むと、血流が悪くなってしまい、「メラニン色素」を作り出すのに必要不可欠な「メラノサイト」や、毛母細胞自体の活力が失われてしまいます。
ニコチンがビオチン不足に
また、体内に摂取された「ニコチン」は毒物と認識されます。毒物と認識された「ニコチン」は、体内に蓄積されたビタミンをごっそり使って体外に排出されるので、必然的にビタミン不足に陥ってしまいます。
最近白髪の改善に効果があるとして注目されている「ビオチン」という栄養素があります。「ビオチン」はトマトなどに多く含まれている栄養素で、髪に必要な栄養素を補給してくれ、髪の発育を促進する働きがあります。このことから、健康的な髪を育てることで抜け毛の減少にもつながるので、白髪の改善だけでなく抜け毛の改善にも注目されています。
実はこの「ビオチン」はビタミンB群の一種なので、タバコを吸って「ニコチン」を摂取してしまうと、「ニコチン」を体外に排出する際に不足してしまいます。体内の「ビオチン」が不足してしまうと、白髪の原因となるだけでなく、新陳代謝が低下してしまい、肌細胞のターンオーバーサイクルが乱れ、ニキビや吹き出物の原因となったり、アトピーが悪化してしまうこともあるのです。
タバコと白髪の関係性については昔から研究が行われていて、1996年にはイギリスで「たばこを吸っている人はたばこを吸っていない人にくらべて、白髪になる可能性が4倍高い」という研究発表も行われています。ですので、喫煙者の方で白髪の悩みを抱えている方は、まず禁煙して体内に「ニコチン」を摂取しないようにすることからはじめましょう。
白髪とストレスの関係性
白髪とストレスは密接に関係していて、ストレスを溜め込んでしまうことによって白髪は増えていってしまいます。
人間の頭皮は、実は以下の5層から成り立っていると言われていて、それぞれの層の頭文字を取って、CMなどでもお馴染みの「SCALP（スカルプ）」という語呂合わせで覚えられています。
- S（Skin）：頭皮
- C（connective tissue）：結合組織
- A（aponeurosis）：帽状腱膜
- L（loose areolar connective tissue）：疎性輪紋状結合組織
- P（periosteum）：頭蓋骨膜
ちなみに、髪の毛は「SCALP（スカルプ）」の「S」である「S（Skin）」から生えており、これは黒髪でも白髪でも同じです。
ストレスが影響されるA（aponeurosis）
「SCALP（スカルプ）」の「A」である「A（aponeurosis）」は、前頭筋、後頭筋に繋がっており、比較的丈夫な層と言われているのですが、ストレスを感じるに伴い、頭蓋骨に圧着されていきます。「A（aponeurosis）」が頭蓋骨に圧着されていくことによって、頭皮の緊張を招くことになるので、頭皮の血管を圧迫して血流を低下させ、白髪の原因になるのではないかと言われています。
頭皮まわりの細胞は、ストレスによって招かれる血流の低下に非常に弱いので、これによって細胞が正常に働かなくなり、細胞そのものが弱体化してしまいます。細胞が正常に働かなくなり、細胞が弱体化してしまうと、色素細胞がうまく機能しなくなり、メラニン色素の合成と毛髪に色素を供給するという機能が正常に機能しなくなり、白髪の原因になってしまうのです。また、細胞の鈍りや細胞の弱体化は、白髪だけでなく、抜け毛の原因にもなってしまいます。
またストレスによって睡眠不足を引き起こしてしまうと、髪の毛や頭皮に悪影響を与えてしまいます。ストレスは定期的に発散し、溜め込まないようにしましょう。睡眠不足気味の方は、睡眠の1時間前くらいにぬるま湯に浸かると良質な睡眠に効果的であると言われています。
白髪を抜いたら白髪が増えるという迷信
よく、白髪を抜くと増えると言われますが、実際には白髪を抜いても増えたり減ったりすることはありません。
白髪の原因には「メラニン色素」や「メラノサイト」が関係していると言いましたが、一度弱ってしまった「メラノサイト」は、何かしらの対策を施さないと弱ったままです。ですので、いくら白髪を抜いても「メラノサイト」が弱ったままでは、また新しい白髪が生えてきてしまいます。これが、白髪を抜くと白髪が増えると言われている理由なのです。
「メラノサイト」は、老化、遺伝、食生活、疲労、ストレス、睡眠不足、間違ったヘアケアなどで弱っていくと言われていますので、心あたりがある方は、その辺りを改善すると「メラノサイト」を正常な状態に戻すことができ、白髪を減らすことが出来る可能性があります。
白髪を抜いても増えない！という情報を知ってしまうと、これからは白髪を見つけ次第、片っぱしから抜こうと思ってしまいますよね。しかし、白髪を抜いても白髪が増えることはないのですが、白髪を無理に抜いてしまうと下記のような頭皮トラブルを引き起こしてしまう可能性があるのです。
頭皮の炎症による皮膚の病気
白髪を無理に引き抜いてしまうと、その過程で頭皮や毛細血管に傷をつけてしまいます。頭皮や毛細血管に傷がつくと、その傷から毛穴に雑菌が入り込み、ブドウ球菌に感染する「毛嚢炎（毛包炎）」という皮膚の病気になってしまう可能性があります。
髪の毛が生えなくなる！！
1つの毛穴から生えている髪の毛は1本というわけではなく、白髪が生えているのと同じ毛穴から黒髪が生えていることもあります。
ですが、何度も白髪を無理に引き抜いていると、白髪だけではなく、黒髪の正常な毛乳頭や毛母細胞も破壊されてしまうことがあり、その結果生えていた髪の毛が生えなくなってしまう可能性があります。
上記などの理由から、白髪が気になっても絶対に抜かないようにしましょう。
男性と女性の白髪の原因の違い
白髪になってしまう原因は、男性と女性では少し違います。
白髪の一番の原因は「加齢」だと言われていますが、「加齢」については、男性、女性で特に違いはありません。また、「加齢」以外にも男女共通の白髪の原因として「睡眠不足」「栄養不足」「運動不足」「ストレス」「病気」「遺伝」などがあります。
男女共通の白髪の原因でも結構な数がありますが、女性の場合はこれに加え、下記のようなホルモンバランスの変化でも白髪になってしまう可能性があります。
女性が白髪になってしまうかもしれない要因
- 妊娠
- 出産
- 更年期
- 閉経
これらは女性特有の症状なので、男性には当てはまらず、女性のみということになります。ですので、女性の場合は、男女共通の白髪の原因＋女性特有の原因で白髪になってしまう可能性があるので、男性よりも女性のほうが白髪になりやすいのです。
また、無理なダイエットなどでもホルモンバランスが崩れてしまいますので、白髪にならないためだけではなく、体を壊さないためにも無理なダイエットはしないようにしましょう。
白髪の原因解明
これまで、白髪の原因や白髪が生えてしまう仕組みについて説明してきました。ですが、実は白髪の原因というのは正確に解明されていないのです。ちなみに研究が進んでいない理由は「直接的に病気と関係がない」ということから後回しになっているそうです。
2015年に、世界最大の化粧品会社である「ロレアル社」が、白髪の原因が「酸化」であることを解明したと発表していますが、何が原因かはハッキリと立証されていないのが現状です。
白髪の原因の候補としては「加齢」や「ストレス」の他に、「薬の副作用」や「ヘアサイクル時のDNAの欠損」なども挙げられていますが、全てにおいて立証されていないので、現在の研究結果では「これが白髪の原因だ」と言い切ることはできないのです。
どうしても白髪を改善したいという人は、白髪の原因の候補として挙げられていること全てに気をつけ、いつの日か白髪の原因が完全に解明されるのを待つしかないのです。
たかが白髪、されど白髪、近いうちに原因が完全に解明されるといいですね。
まとめ
- 白髪が生えるのは「メラノサイト」「メラノソーム」の減少が関係していると言われている
- 白髪の原因は「加齢」「睡眠不足」「栄養不足」「運動不足」「ストレス」「病気」「遺伝」などだと言われている。
- 女性に白髪が多いのは、妊娠、出産、更年期、閉経などホルモンバランスが崩れた時になりやすいため。
- 白髪改善に効果があると注目されている成分はビタミンB群の一種「ビオチン」
