ハゲにはいくつかの種類があります。男性の場合は、基本的に男性型脱毛症(AGA)の影響を受け、M字、U字、O字といったアルファベットの形でハゲが進行していきます。
こめかみから後退する『M字型』
最も典型的なハゲ方はM字型で、こめかみの部分からハゲていき、最後にはおでこから頭頂部の髪の毛がすべて抜け落ち、耳の周りや後頭部にのみ髪の毛が残ります。
わかりやすい例を言うなら、ダイハードという映画を見ると分かるかと思います。主演男優の頭髪を注目して見ていると、1作目、2作目、3作目…とシリーズが進む毎に頭髪に変化がみられます。これはM字型の典型的な例です。
いつのまにか額が広く?『U字型』
おでこの全体から頭頂部に向けてハゲが進行していくタイプです。M字型とは違いこめかみ部分のほうが遅くハゲていきます。M字ハゲよりは少ないのですが、男性のハゲではよく見られるタイプです。
U字型もM字型と同様、進行するとおでこから頭頂部の髪の毛がすべて失われ、耳の後ろや後頭部周辺の髪の毛は残ります。
人から指摘されて青ざめる『O字型』
頭頂部から少しづつハゲていくタイプです。O字型単体では男性のハゲとしては少なめですが、ほとんどの場合U字型のハゲと同時に始まります。
U字型と同時に進行するとハゲの進行が早く、気がついた時には見事な肌色の頭ができあがってしまいます。O字型も後頭部周辺と耳の周辺の髪の毛を残し、すべての髪の毛が失われます。
これらのハゲは、進み方が基本的に同じです。原因も男性特有のものであることがほとんどなので、ハゲ予防の方法もあまり変わりありません。
鏡を見ればだれにでも判別できるので、気になる方は鏡で自分の頭をチェックしてみてください。
知らないとヤバい進みだすと早い男性のハゲ
男性特有の抜毛・薄毛とは
ハゲの進み方には、性別によって違いがあります。
基本的な部分のハゲ予防法は男性も女性も変わりはないのですが、男性のハゲは男性型脱毛症(AGA)というものが関わることが多いので、性別によるハゲの原因を考える必要があります。
男のハゲは容赦無い
男性のハゲは女性とは違い、容赦なくハゲます。
すべての頭髪が抜けることはまれですが、頭頂部からおでこにかけて見事にハゲ上がるのが男性のハゲです。個人差はありますが、基本的には男性のハゲは進行するとごっそりと髪の毛が失われます。
ハゲの原因『男性型脱毛症(AGA)』
男性のハゲの原因は男性型脱毛症(AGA)といわれるものが根底にあることが多く、男性ホルモンの一部が毛根の成長を阻害してしまうことで発生します。
男性型脱毛症はハゲの原因には違いありませんが、その進行に個人差があるので、ハゲているからといって男性型脱毛症が主要因とは限りません。ストレスや不規則な食生活、または別の疾患など複合的な要因がある場合も少なくありません。ただ、女性と比べるとハゲる要因が1つ多いので男性は女性よりもハゲやすく、ハゲてしまえば容赦なく肌色の頭皮がむき出しになってしまいます。
男性型脱毛症は、良い薬が開発されているので、病院で適切な処置をすれば進行は止まり、髪の毛が再び生えてくる可能性があります。
ただし、対処療法でしかなく完治させることはできません。髪の毛の再生ができたとしても、以後はハゲ予防のために薬を飲み続けることになります。
男性型脱毛症-AGA-とは
Androgenetic Alopeciaの略で日本語では「男性型脱毛症」と言われています。男性ホルモンの変質によって起こるため、男性に多く見られますが、昨今の社会環境の中では女性のAGA(女子男性型脱毛(FAGA))も増加の傾向にあります。
AGAの3つのキーワード
AGAは、以下の3つの要因が関係しています。
テストステロン
ジヒドロテストステロン(DHT)
5αリダクターゼ
男性ホルモン『テストステロン』
人はテストステロンという一種の性ホルモンを体内で作ります。これは男性ホルモンといわれるもので、女性でも少量ですが体内で作られます。
男性は体の成長にともない、思春期から男性ホルモンが作られていきます。男性ホルモンの一種であるテストステロンは、皮脂の分泌や毛母細胞の分裂などを促進させる効果や、筋肉を発達させたり、骨を形成したり、太い毛髪を作り出すといった大切な役割を持っています。
健康な男女の誰もが持っている「テストステロン」ですが、ある要因によって恐ろしい抜け毛原因になります。テストステロンは5αリダクターゼによって代謝(分解)され、ジヒドロテストステロン(DHT)という物質に変換されるのです。AGAの真の悪玉は、このジヒドロテストステロン(DHT)です。
真の悪玉『ジヒドロテストステロン(DHT)』
ジヒドロテストステロン(DHT)は、皮脂の分泌を過剰にして毛穴を詰まらせます。
また人の髪の毛は、個人差はありますが毛周期と言われるサイクルによって循環しています。毛周期は発毛、成長、休止という3つの段階があり、正常であれば髪の毛は毛周期通りに発毛、成長、脱毛を繰り返します。
しかし、ジヒドロテストステロンが毛乳頭細胞の受容体に結びつくと毛周期を狂わせます。特に毛周期の「成長」に対して極端に作用し、2年から6年あると言われる髪の毛の寿命を大きく奪います。
そして成長途中なのに寿命が尽きて抜ける髪の毛が多くなり、最後には生えてきてもすぐに抜けるほどまで成長を阻害してしまうのです。さらに男性の性欲減退も招きます。
育毛テロリスト《5αリダクターゼ》
5αリダクターゼはAGAの原因となる酵素ですが、5αリダクターゼ自体には髪の毛に対して悪影響を及ぼすことはありません。では、なぜ5αリダクターゼがAGAの原因とされているのでしょうか。5αリダクターゼは、テストステロンという人の体を作るホルモンを代謝する酵素です。テストステロンが5αリダクターゼによって代謝されると、ジヒドロテストステロン(DHT)という物質に変わります。5αリラクターゼは1型と2型があるのですが、どちらもジヒドロテストステロンを生み出します。このジヒドロテストステロンがAGAの原因物質で、髪の毛のある部分に対して強烈な作用をもたらします。
またAGAの原因はジヒドロテストロンですが、これを代謝する5αリダクターゼを活性化する遺伝子が発見されています。これが「ハゲの遺伝子」と言われるものです。通常なら5αリダクターゼが必要以上に活発化しないのですが、このハゲ原因遺伝子があると過剰なほど活発化します。こうして、AGAが起きてしまうのです。
AGA治療薬によって5αリダクターゼの活動を抑制し、ジヒドロテストステロンが作られにくい環境にするとAGAは急速に収まります。
しかし、そのままでは髪の毛が戻るのに時間がかかるので、育毛剤などで発毛を促す必要があります。
原因物質ジヒドロテストステロン
ジヒドロテストステロンはAGAの原因物質としてほぼ特定されているもので、5αリラクターゼの活動を抑えてジヒドロテストステロンを作らせないようにしようという薬がプロペシアです。
ハゲに悩む人にとっては有害な酵素かもしれませんが、男性の体にとっては重要な役割をもっています。
なぜテストロステロンが変身してジヒドロテストステロンになるのか
ジヒドロテストステロンの原料となるテストステロンは、男性の特徴である筋肉であったり、それを支える骨格であったりと、「男」である特徴を形成します。
しかし、テストステロンではその能力が低いのです。
それを補うために、テストステロンの数倍の能力を持つジヒドロテストステロンが必要なのです。ジヒドロテストステロンを作るには化学反応を起こす必要がありますが、人の体は化学反応を起こすには温度が低すぎます。
そこで、酵素である5αリラクターゼを触媒にしてジヒドロテストステロンに変換しています。
多すぎると問題になる5αリラクターゼ
つまり、5αリラクターゼもジヒドロテストステロンも、その正体は体にとっては必要な物質なのです。
ところが、5αリラクターゼが体内に多すぎるとジヒドロテストステロンを過剰に作り出してしまいAGAを引き起こしてしまいます。皮肉にも生きるために必要な体内の仕組みがAGAを起こしているのです。
AGA(男性型抜け毛)の原因
AGAの原因は5αリダクターゼであることは、いまや周知の事実であるほど知られています。では、AGAが発現すると髪の毛がどういう経緯で抜けていくのかをご存知でしょうか。
男性ホルモン《ジヒドロテストステロン》とは
体内では5αリダクターゼが酵素としてテストステロンを代謝し、ジヒドロテストステロンを作り出します。
ジヒドロテストステロンは筋肉や骨を発達させ、「男らしい体」を作るのに必須の物質です。しかし、ジヒドロテストステロンは髪の毛の寿命を極端に短くしてしまいます。
ジヒドロテストステロンは髪の毛の元である毛乳頭細胞に入り込むと、毛乳頭細胞の接続部であるレセプターというところにつながります。すると、毛乳頭細胞はTGF-β1というタンパク質を作り出します。
毛乳頭細胞の受ける影響とは
TGF-β1はトランスフォーミング増殖因子というもので、αとβが存在しβのみ1から5にわけられています。そのなかの1つであるTGF-β1は、骨の生成やコラーゲンの生成を促す作用がありますが、上皮細胞に対してはその活動を抑制します。
毛乳頭細胞、あるいは毛母細胞といわれる髪の毛が生み出される場所は、上皮細胞に分類されるので、TGF-β1の影響を受け活動が抑制されます。
活動が抑制された毛乳頭細胞や毛母細胞は、髪の毛を作り出すことはできますが、長い時間髪の毛を維持できなくなります。
その結果、髪の毛は「自滅」して抜けてしまうのです。
これはAGAが発現していなくても起こりますが、AGAの場合は5αリダクターゼの活性が高すぎて過剰なジヒドロテストステロンが作られるので、TGF-β1も通常よりも大量に作られてしまい、大規模な脱毛を引き起こしてしまうのです。
AGAとは体のしくみがもたらしているようなもので、今のところ5αリダクターゼを抑制するしかAGAの対処方法がないのです。
男性型脱毛症以外の原因
男性型脱毛症以外のハゲる原因は、女性も共通しています。
生活習慣やストレス、アルコールやタバコなどは、男女問わずハゲを進行させるおそれがあります。
これは生活習慣の改善や育毛剤などの利用で緩和できます。
男性のハゲ予防は、男性型脱毛症とそれ以外の原因の両方を考える必要があります。それにより対策が違うからです。ハゲの進行が著しい場合は男性型脱毛症の影響が大きい可能性が高いので、まずは病院で診察を受けることをおすすめします。
「スケベ」はハゲるは本当だった?ハゲと「スケベ」の微妙な関係
ハゲにまつわるお話で、「男性はハゲているとスケベ」ということを聞いたことはないでしょうか。ハゲとスケベ。一見関係ない様に見えますが、微妙に関係しているのかもしれません。
頭髪に男性ホルモンが関係する
男性が女性を好むのは当たり前ですが、その理由は男性ホルモンにあります。人間には色々な物質を作り出す力がありますが、性別による性格の特徴に影響するのがホルモンです。
ホルモンは化学物質の1種で、男性ホルモン、女性ホルモンにわけられますが、人間は性別にかかわらずどちらのホルモンも体内で作られます。ただし、男性であれば男性ホルモン、女性であれば女性ホルモンが多く作られるので、ここで性別による差が出てくるのです。
男性の方が女性より3倍ハゲやすいというのは本当だった
このホルモン、特に男性ホルモンは女性を好むように仕向けるのですが、酵素の働きによって男性ホルモンが変質してしまうことがあり、その結果、髪の毛の元になる毛乳頭細胞の活動を妨げてしまいます。
つまり、男性ホルモンが活発に生産されていると酵素によって変質する確率も増え、ハゲやすくなる、そして男性ホルモンが活発だから女性に興味を持ちやすくなる=スケベはハゲているということのようです。
ただ、実際にハゲているとスケベかといえば難しいところで、本来ならハゲている人がハゲ予防をしていて髪の毛を維持していたり、ハゲている人が髪の毛の再生に成功したとしてもスケベな人はいるものです。
結局のところスケベだからハゲているというわけではなく、身体の中で起こるホルモンの影響や生活環境、ストレスなどが大きな原因なので、スケベでハゲるということはなさそうです。
世のスケベな男性諸氏は、ハゲていてもスケベが原因ではないので、安心してもよいかと思われます。ただ、あまりスケベだと女性に嫌われて別の意味でハゲかねないので、ほどほどにしておくことをおすすめします。
ハゲ遺伝子は本当にあるのか?
AGA(男性型脱毛症)は、男性の多くが発症するハゲの代表格です。原因である男性ホルモンは数種が確認、特定されていて、その原因となる男性ホルモンが代謝される過程で毛母細胞にダメージを与えてしまいハゲることも分かっています。原因が特定されているので治療薬も開発され、「プロペシア」という名前で処方されています。男性を悩ますAGAですが、遺伝する可能性が示唆されています。
ハゲの子はハゲ?
まだ完全に解明されているわけではないのですが、親がハゲているとその子供にも遺伝する可能性があるとされています。遺伝によってAGAが発症する場合、ハゲの原因となる男性ホルモンを分解する酵素の働きが活発になる遺伝子を受け継いでいます。
この「男性ホルモンを分解する酵素が活発になる遺伝子」は、受け継いだから必ずハゲるわけではないのですが、AGA発症者の多くがこの遺伝子を持っているようです。
つまり、親がハゲていると少なくともその子供にはハゲの原因となる遺伝子が受け継がれる可能性を否定できないのです。
特定するには?
AGAがハゲの遺伝子によって引き起こされているかどうかは遺伝子検査で分かります。現在ではAGA遺伝子の検査キットが数千円から1万円前後で入手できるので、自宅にいながら検査ができます。どうしても気になるのなら、利用してみるのも良いでしょう。