毛根と言われる髪の毛の根っこの部分には毛乳頭があり、その周りには毛乳頭を取り囲むように毛母細胞があります。この毛母細胞には、髪の毛に色を付ける「メラニン色素」を作りだす「メラノサイト(色素形成細胞)」があり、そこでメラニン色素が生成されて髪の毛に色が付くようになっています。何らかの理由で「メラノサイト」が減少すると、同時に髪の毛に色を付ける「メラニン色素」も減少してしまい、色素の薄い白髪が生えてきてしまうのです。
白髪には様々な原因が有りますが、その中には「ホルモンバランスの乱れ」があります。男性でも、女性でも、ホルモンバランスが乱れてしまうと身体に様々な影響が出てしまいます。
ホルモンバランスが乱れる原因
白髪になる原因は解明されていない部分が多いのですが、髪の毛を育てる女性ホルモン「エストロゲン」が関係していると言われています。この女性ホルモン「エストロゲン」は、女性だけではなく男性にもあるホルモンで、下記のような様々な要因でバランスが崩れてしまいます。特に女性の場合は、妊娠や出産があるので、男性よりもホルモンバランスが乱れてしまう可能性が高いとされており、男性に比べて女性のほうが白髪になりやすいと言われています。ホルモンバランスが乱れる原因は下記のようなものがあります。
加齢
年齢を重ねる毎に卵巣の機能は低下していく傾向にあり、一般的には30代後半頃から急激に低下し始めると言われています。ですが、ストレスのかかる生活や乱れた生活習慣を続けていると、20代でも卵巣の機能が低下してしまうことがあります。
生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れた生活を続けていると脳の視床下部の機能が弱まってしまいます。睡眠不足、食生活の乱れ、運動不足、喫煙、適量を超える飲酒などは、ホルモンバランスを乱す原因となってしまうことを覚えておきましょう。
ストレス
脳の視床下部はストレスに弱く、過度のストレスが溜まってしまうと機能が低下してしまいます。ストレスは日常生活の中で、気が付かない間に溜まってしまうものなので、ストレスを感じていなくても、日頃から発散するようにしましょう。
身体の冷え
ホルモンバランスは身体が冷えることでも乱れます。体が冷えると血行が悪くなり、卵巣や子宮が冷えてしまって、うまく働かなくなってしまいます。そうなることで、脳の視床下部が弱っていなくてもホルモンバランスの乱れの原因になります。
病気
ホルモンバランスが乱れた際には、卵巣に腫瘍が出来るなどの病気の可能性もあります。卵巣の病気などは自覚症状が現れにくく、ホルモンバランスが乱れたことによって発覚することもあるので注意が必要です。
妊娠
妊娠すると黄体ホルモンである「プロゲステロン」の分泌が増加します。妊娠中にイライラしたり、憂鬱になったりといった感情的な起伏が激しくなるのも、この「プロゲステロン」が影響していると言われています。また、もう一つの女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量も増加する傾向にあり、どちらのホルモンの数値も妊娠末期までは増加し続けます。その結果、急激に女性ホルモンが増加することになるので、ホルモンバランスが乱れてしまうのです。
出産
出産後は妊娠中に大量に分泌されていた「エストロゲン」と「プロゲステロン」が一気に減少します。特に産後うつは、出産を経験した3割から5割の女性が経験するとも言われており、その原因は「エストロゲン」が急激に減少しホルモンバランスの乱れ、脳内神経物質の「セロトニン」などがうまく働くなるからといわれています。また、ホルモンバランスの乱れているので白髪だけではなく、抜け毛、シミ、乾燥、湿疹などが増えてしまう可能性もあります。
ホルモンバランスの乱れが引き起こす様々な症状
ホルモンバランスの乱れは、直接髪に影響を及ぼすだけではなく、ホルモンバランスが乱れることで引き起こされる様々な要因が白髪の原因になることもあります。
体内の血液量が不足
ホルモンバランスが乱れることで、体内の血液量が不足することが考えられます。身体だけでなく、頭皮や髪の毛に必要な栄養素も血液によって運ばれていますので、血液が不足してすると健康な髪の毛が育たなくなってしまいます。頭皮や髪の毛の栄養素が不足してしまった結果、白髪や抜け毛、薄毛を引き起こしてしまうのです。特に女性の場合は生理で定期的に出血し、栄養素が排出されてしまうので、男性よりも血液が不足しやすいと言われています。
カルシウムの不足
ホルモンバランスの乱れが原因の白髪には、カルシウム不足も関係していると言われています。特に女性の場合で、出産後に母乳で育児をしている方は、子供に栄養を分け与えることになるので、カルシウムが不足してしまいがちです。出産後に急に白髪が増えた方は、カルシウムが不足してしまっているケースが非常に多いと言われているので、解消するためにはいつもより多く栄養素を摂取しなければいけません。この状態の時に、出産前の体型に戻ろうとしてダイエットすると、より白髪が増えてしまうので気を付けましょう。
他にも女性ホルモンが減少することで下記のような症状が現れます。
- 頭痛
- 生理痛
- めまい
- 立ちくらみ
- 肌荒れ
- シワ
- シミ
- 肩こり
- 不眠
- イライラ
- 動悸
- 息切れ
- 倦怠感
- 腰痛
- 失禁
- 骨量の激減
- 冷え性
ホルモンバランスの乱れ対策
ホルモンバランスの乱れ対策として挙げられるのは、やはり生活習慣です。加齢や病気のリスクは回避することはできませんが、生活習慣の乱れによるホルモンバランスの乱れは改善することができます。まずは下記の点に注意して生活習慣を見つめ直すことが大切です。
- 早寝早起きで生活リズムを整える
- バランスの良い食事をする
- 運動不足の解消
- 睡眠不足の解消
- ストレスの解消
- 身体を冷やさない
- 禁煙
- 過度な飲酒を控える
まとめ
妊娠、出産などによって乱れたホルモンバランスが原因で増えた白髪は、ホルモンバランスを正常に戻しメラノサイトを活性化すれば黒髪に戻すことができるかもしれません。しかし、一度失われてしまったメラノサイトを取り戻すことはできないので、日頃から白髪にならないように対策を整えておきましょう。