「ハゲ」や「薄毛」というと、抜け毛が増え、髪の毛の量が減ることを思い描くと思いますが、実は髪の毛が細くなることでも「ハゲ」や「薄毛」になってしまうのです。一般的に成人男性の場合は10万本の髪の毛が生えていると言われていますが、10万本のうちの10％である1万本の髪の毛が抜けると「ハゲ」や「薄毛」と言われる状態になってしまいます。では、10万本のうちの10％である1万本の髪の毛が細くなってしまった場合はどうでしょうか。
どの程度細くなったかにもよりますが、それは1万本の髪の毛が抜けてしまったのと同じで「ハゲ」や「薄毛」ということになるのです。厳密には髪の毛が抜けるのと、髪の毛が細くなるのは違うのですが、見た目には同じで、髪の毛が細くなることにより髪の毛のボリュームがなくなりハゲて見えてしまうのです。特に頭頂部や前頭部の薄毛は、髪の毛が抜けてしまう事が原因の他に、髪の毛が細くなってしまったことが原因である場合がほとんどだと言われています。
髪の毛が細くなる原因とは
髪の毛が細くなる原因としては大きく分けて下記の2つが挙げられます。
AGA（男性型脱毛症）
AGAは「Androgenetic Alopecia」の略で、男性の薄毛の殆どがこの「AGA（男性型脱毛症）」だと言われています。「AGA」は頭頂部や生え際から薄くなっていくことが多く、側頭部や後頭部に症状が表れることがほとんどないのが特徴の薄毛です。「AGA」は進行性の病気なのですが、その進行はとてもゆっくりなので、気がついた時には「AGA」が進行してしまっていたということがよくあり、気づいた頃には手遅れになっている可能性もあるので、「髪の毛が細くなってきた」というサインを見逃さないようにしましょう。勘違いしている人が多くいるのですが、「AGA」は髪の毛が抜けてしまう病気でもなく、髪の毛が生えてこなくなる病気でもなく、髪の毛が正常に成長しなくなってしまう病気です。ですので、「AGA」になったからといって、いきなり髪の毛が抜けてしまい薄毛になるのではなく、徐々に髪の毛が細くなっていき、症状が進むにつれて抜け毛が増え、薄毛が進行していきます。
「AGA」の発症原因として最も有力だとされているのが男性ホルモン「DHT（ジヒドロテストステロン）」の影響によるものです。「DHT」は、同じ男性ホルモンである「テストステロン」が、毛根近くの皮脂腺などに存在する「5αリダクターゼ」と呼ばれる物質と結合することで生み出されます。「DHT」が、毛乳頭に存在する「アンドロゲンレセプター（受容体）」に吸着すると、毛髪に栄養を送る作用を妨害し、毛乳頭周りの血流が低下してしまいます。すると髪の毛が十分な栄養を確保できず、途中で成長が止まることによって髪の毛が細くなり、正常だった髪の毛が段々と産毛に変わっていき、最終的には薄毛・抜け毛の症状が現れてしまうのです。また、「DHT」は、思春期以降になるとニキビを引き起こす原因にもなります。
生活習慣の乱れ
髪の毛には「ケラチン」というタンパク質が多く含まれています。この「ケラチン」というタンパク質が何らかの原因で減少すると髪の毛が細くなってしまうのですが、「ケラチン」が減少する原因として「食生活の乱れ」や「血行不良」などの生活習慣の乱れが挙げられます。まず、食生活が乱れ、偏った食事を続けていると、頭皮の皮脂が過剰に分泌されてしまったり、「ケラチン」などのタンパク質を上手く作り出せなくなります。そうなると頭皮が炎症を起こしてしまったり、「ケラチン」が足りなくて正常な髪の毛を育てることができなくなります。なお、ヘアカラーやパーマなどでも「ケラチン」は減少してしまうと言われているので、髪の毛に悩みを抱えている人は、避けるようにしたほうが得策でしょう。
すぐ出来る改善方法
その1「マッサージ」
肩こりなどと同じように、頭皮の血行不良を改善するためにも「マッサージ」は非常に有効です。頭皮が硬くなっている箇所を中心に、指の腹などを使って優しく揉むようにマッサージします。また、頭皮だけでなく「ふくらはぎ」のマッサージも、全身の血行不良を改善するのに効果的だと言われています。ふくらはぎは第二の心臓とも呼ばれており、下半身から上半身に血液を循環させるポンプのような働きをしています。ふくらはぎをマッサージすることで、下半身に滞った血液をスムーズに上半身に送れるようになり、血行不良を改善することができます。カカトから膝に向かって、血液を心臓に戻すイメージでマッサージするだけで大丈夫です。
また、頭皮には下記のような、血行不良の改善に効果があると言われているツボもあるので、マッサージのついでに押すようにすると良いでしょう。
百会
「百会」は、頭のてっぺん「頭頂部」にあり、左右の耳の延長線上と鼻からの延長線とが交わるところ、または頭頂部で、両耳を結んだ線と、顔の左右の中心線の交差する位置にあります。「百会」は万能のツボなどとも言われ、体の緊張を解し精神をリラックスさせてくれるツボです。緊張を解すことによって、血行が促進し、ハゲの対策へと繋がっていきます。「百会」を押す際には、頭皮全体をマッサージするようにしながら中指で押すようにします。この時に、力を入れ過ぎて痛くならないように、自分で気持ちいい力加減を見極めて押すようにしましょう。また、万能のツボとも言われていますので、無意識のうちに「百会」を押す癖をつけておくのもオススメです。
風池
「風池」は血行促進に繋がるツボで、後頭部、首の付根から頭部につながる部分におおよそ位置しています。首筋を下から押し上げて行った時に指が引っかかる場所、または頭蓋骨の下のうしろ髪の生え際にあるくぼみの指1本分外側となっています。このポイントを、指を使って体に対して垂直に押し当て、指の腹で力を加えていくことで、頭部への血流を促進させることができます。「風池」は、頭痛、疲れ目、肩こりなどにも効果があるとされているので、仕事中の気分転換などの、気がついた時に押すようにするといいでしょう。
角孫
「角孫」は耳の上の髪の毛の生え際辺り、耳を前にペタンと折り曲げて耳の先端があたる辺りにあるツボです。「角孫」は頭皮の血行を促進するツボだと言われているので、薄毛や抜け毛の予防だけではなく、白髪などにも効果があります。
その2「食生活の見直し」
日頃から自炊をしている人でも栄養が偏って不足していると言われているので、普段外食やコンビニで食事を済ましている人は、ほぼ栄養不足に陥っていると思ってください。栄養が不足すると、頭皮や髪の毛だけではなく、全身に様々な悪影響が出てしまうので、今すぐにでも食生活を見直すようにしましょう。普段あまり野菜を食べていない人は野菜を、肉や魚をあまり食べない人は肉や魚を食べるようにし、同時に日頃から血行促進効果のある食材を食べるようにしましょう。血行促進効果があると言われている栄養素には下記のようなものがあります。
ビタミンC
「ビタミンC」には、コレステロールの代謝促進、抗疲労作用、血液をサラサラにしてくれる効果などがあり、赤ピーマン、黄ピーマン、芽キャベツ、パセリ、アセロラ、ゆず、レモンなどに豊富に含まれていると言われています。
ビタミンE
「ビタミンE」には、血管内で血液が固まってしまうのを防ぐ効果があり、たらこ、いくら、すじこ、キャビアなどの魚卵や、あゆ、いわし、あん肝などに豊富に含まれていると言われています。
パントテン酸
「パントテン酸」は、血液や細胞内の余分なコレステロールを回収してくれるので、コレステロール値を正常に保つ働きがあり、動脈硬化や心筋梗塞などの予防にも効果的だとされています。そんな「パントテン酸」は、卵黄、納豆、鶏レバー、豚レバー、牛レバーなどに多く含まれていると言われています。
その3「ストレスの解消」
血行不良はストレスによって引き起こされることもあり、ストレスによって自律神経が乱れると、血液の循環調整が機能しなくなってしまいます。さらに、ストレスを感じると、血管を収縮させる働きのあるストレスホルモンが大量に分泌されるので、頭皮や髪の毛にとってストレスは大敵です。なので、日頃からストレスを溜め込まず、発散する方法を確立しておきましょう。スポーツなどでもストレスを発散することはできますし、同時に運動不足も解消でき、血流も良くなるので一石二鳥なのではないでしょうか。また、友達を誘ってお酒を呑んだり、カラオケに行くことでもストレスは発散できますが、一人でも出来るストレスの発散方法を持っておくと、気軽にストレスを発散できるのでオススメです。
まとめ
これらの改善方法は生活習慣の乱れが原因の場合だけではなく、「AGA（男性型脱毛症）」が原因の場合でも効果があります。「AGA」は、栄養バランスの乱れや血行不良などの生活習慣の乱れが引き金となって発症してしまうケースが多いので、「AGA」の方も投薬治療を行っているからといって気を抜かず、日頃から生活習慣には気を使うようにしましょう。また、これらの改善方法は、今日実践したからといって、すぐに効果が出るわけではないので、3ヶ月～半年を目安に継続してケアを続けましょう。
