一般的に抜け毛が増えるのは「秋」だと言われていますが、実は「春先」から「夏」にかけても抜け毛が増えやすいのです。季節による抜け毛の増加には自律神経の働きが深く関わっており、寒くなり始める「秋」には寒さから身を守るため、暑くなり始める「春先」から「夏」にかけては暑さから身を守るために自然と髪の毛が生え変わるため抜け毛が増加してしまうのです。
犬や猫を飼っている方ならご存知かと思いますが、犬や猫も「春先」から「夏」にかけてや「秋」になると毛が生え変わるため大量に毛が抜け始めます。それと同じで、人間も元々は動物なので犬や猫のように季節によって毛が生え変わるため、一定に季節になると抜け毛の量が増加するのです。ですので、暑くなり始めた頃や寒くなり始めた頃に抜け毛が増えるのは生き物としての生存本能・生理機能なので全く気にする必要はありません。しかし、夏には自然脱毛以外にも様々な原因によって抜け毛の増加を招いてしまうことがあるのです。
強い紫外線による頭皮や髪の毛の損傷
四季が存在する国である日本では、夏が1年で1番紫外線が強い時期です。女性の方なら特に、夏になれば肌が傷まないように紫外線対策をすると思いますが、頭皮や髪の毛も肌と同じように紫外線によって傷んでしまうので紫外線対策を行わなければいけません。頭皮や髪の毛は人間の中でも一番高い場所にあるので紫外線を浴びやすく、髪の毛の多い方や、ロングヘアーの方であれば、頭皮が紫外線をまともに浴びるのを防ぐことができますが、髪の毛が短い方や、薄毛の方などは頭皮がまともに紫外線を浴びてしまうので注意が必要です。
UVケアは忘れずに
UVケアといえば女性の日焼け止めなどが真っ先に思い浮かぶかと思いますが、最近では男性でも日焼けしないようにUVケアをしている方が増えてきています。しかし、ほとんどの方が腕や脚などの日焼け止め程度で、頭皮のUVケアは一般的にあまり周知されていないのが事実です。頭皮が紫外線を浴びると様々な弊害が起こり、まさに百害あって一利なしですので、外出の際は頭皮のUVケアも忘れないようにしましょう。UVケア用品としては帽子だけではなく、頭皮や髪の毛にスプレーをするタイプのUVカット用品も販売されていますので、サラリーマンなどの日頃から帽子を被ることのできない方は、そういったものも活用してみてください。紫外線を直接浴びる面積を考えると、薄毛の方ほど気にしなければいけないので、いま以上に薄毛・抜け毛を進行させないためにも必ず紫外線対策を行うようにしましょう。
汗をかきやすいので頭皮が不衛生に
夏になると気温が高くなるので、否が応でも大量に汗をかいてしまいます。また、大量の汗に加え、夏場は湿度も高くなりがちなので、頭皮に雑菌が発生しやすくなり、紫外線などから頭皮を守るために皮脂も過剰に分泌されてしまいます。汗や湿度のせいで頭皮が蒸れた状態が続くと雑菌が繁殖しやすい環境が整ってしまう上に、皮脂が過剰分泌されてしまうと、それを餌とする雑菌も繁殖してしまい、頭皮環境が悪化してしまいます。頭皮環境が悪化し、頭皮が不衛生な状態になってしまうと、さらに雑菌が繁殖しやすい環境になってしまい、抜け毛が増加してしまう原因となります。毎日欠かさずキレイに洗髪しているからといって気を抜いて良いわけではなく、頭皮をキレイにしようとして必要以上に洗髪してしまうと、必要な皮脂まで洗い流してしまい、逆に皮脂の過剰分泌の原因となってしまいます。また、シャンプーにも気を使う必要があり、自分の頭皮に合っていないシャンプーや、刺激の強すぎるシャンプーを使っていると、それもまた抜け毛の原因となる可能性があるのです。
海水浴で頭皮や髪の毛に大ダメージ
夏といえばレジャーやマリンスポーツが盛んな季節ですが、楽しいレジャーやマリンスポーツにも頭皮や髪の毛に大ダメージを与える落とし穴が潜んでいます。
海水で頭皮や髪の毛が痛む
科学の授業などで「pH(ペーハー)」という単語を耳にしたことはないでしょうか。「pH」は、酸性なのか、アルカリ性なのかを測る指標となる数値のことで、「pH」には0から14までの数値があり、数値が7よりも下であれば酸性、数値が7以上であればアルカリ性と定義されています。
海水の「pH」は、8~9の弱アルカリ性なのですが、髪の毛を構成している「ケラチン」と呼ばれるタンパク質はアルカリ性に弱いという性質があるのです。通常「ケラチン」は「pH」の数値が10を超えると溶けてしまうと言われています。海水の「pH」は8~9なので、「ケラチン」が溶ける10は超えていないのですが、限りなく10に近いので徐々にですが髪の毛を構成している「ケラチン」を溶かしてしまうのです。また、海水によって髪の毛を構成しているタンパク質「ケラチン」が溶けることで髪の毛が傷んでしまうだけでなく、頭皮もダメージを受けてしまう可能性があります。人間の頭皮は「pH」4.5~6.5の酸性で保たれており、反対の性質である海水のアルカリ性で傷んでしまうのです。
海水に頭皮や髪の毛の水分が奪われる
漬物を漬ける時に塩をかけるのはご存知でしょうか。野菜に塩をかけるとしんなりして柔くなるのですが、あれは塩が野菜の水分を奪っているからなのです。ですので、当然海水に浸かることによって、海水の塩分で頭皮や髪の毛の水分も奪われてしまいます。海水浴の後に髪の毛がパサパサになってしまった経験があると思いますが、まさにその状態が海水の塩分によって頭皮や髪の毛がダメージを受けてしまっている証拠なのです。また、海水だけでなく、プールには水を綺麗に保つために「塩素剤」が使われていますので、それによっても髪の毛はダメージを受けてしまいます。
夏場は睡眠不足に陥りやすい
夏になると暑くなるので寝苦しくなり必然的に睡眠不足に陥りやすくなってしまいます。最近は温暖化などの影響で昔よりも気温が高くなり、熱帯夜が何日も続いてしまうので、ついつい寝不足になってしまいがちです。慢性的に睡眠不足になってしまうと、成長ホルモンの分泌量が少なくなってしまい、髪の毛が正常に成長し辛くなってしまいます。髪の毛が正常に成長しなくなるということは、細い髪の毛が増えてしまうということなので、髪の毛の密度が減り薄毛の原因にもなりますし、細い髪の毛は非常に弱くすぐに抜け落ちてしまいます。また、人間は睡眠中に休息・修復・成長を行っているので、睡眠不足になると弱った頭皮や髪の毛を正常な状態に戻すことが出来なくなり、抜け毛の量も増えてしまうのです。
冷房にも注意が必要
暑く寝苦しい日々が続くと、ついつい冷房をガンガンに効かせてしまいがちですが、冷房の効きすぎも頭皮や髪の毛にとっては悪影響です。暑いのが苦手な人も多く、汗をかくと気持ち悪いので、夏になると冷房のよく効いた部屋に長時間いることが多くなると思います。しかし、冷房の効き過ぎは頭皮の乾燥を招きます。たまに冷房を切り忘れて寝てしまい、朝起きた時に喉がカラカラに乾燥していることがありませんか。それと同じで、頭皮も長時間よく冷房が効いたところに居続けると乾燥します。頭皮が乾燥するう、皮脂の量が少なくなり、頭皮を守る役目を果たせなくなってしまいます。それに加え、頭皮の皮脂が減ると、逆に皮脂の過剰分泌の原因となり、抜け毛を増加させる要因になる可能性もあるのです。また、冷房で身体が冷えると代謝が悪くなり、頭皮や髪の毛に必要な栄養素を届けることができなくなってしまいます。さらに、身体が冷えると頭皮の温度も下がるので、頭皮が硬くなり、頭皮の毛細血管が血行不良を起こしてしまうのです。そうなると、ますます薄毛や抜け毛が進行する要因となりかねません。特に、既に薄毛が進行してしまっている場合などは、頭皮に直接冷たい風が当たり、髪の毛がある状態よりも頭皮の温度が下がりやすくなります。そうなると、薄毛の進行は勢いを増すので、そうならないようにしっかりと対策を立てるようにしましょう。
まとめ
冒頭で一般的に抜け毛が増えるのは「秋」だと言われているとお伝えしましたが、実は「秋」に抜け毛が増えるのは、上記のような夏場のツケが一気に襲ってくるからなのです。もちろん季節の変わり目なので、自然に毛が生え変わっているせいでもありますが、夏場のツケが一気に襲ってくる時期でもあるので、抜け毛が一番増えると言われている「秋」を無事に乗り越えるためにも「夏」のうちに抜け毛の対策を整えておきましょう。また、夏バテによって十分な栄養を摂取できず、栄養バランスが崩れてしまうことも「夏」に抜け毛が増える要因ですので、紫外線や睡眠だけでなく、食事の面からも抜け毛の対策を怠らないようにしましょう。