育毛や薄毛対策と聞くと何を思い浮かべるでしょうか。大抵の人の場合は「育毛剤」「育毛サプリメント」「育毛クリニック」などですよね。しかし今回紹介するのは「ガム」の育毛効果についてです。さらにガムに含まれている注目の育毛成分も紹介します。
育毛と血液の関係
「ガム」の育毛効果を知るためにはまず育毛と血液の関係を把握しておく必要があります。「毛根」は頭皮の中にあって表面に出ていない毛の部分のことです。髪の毛は毛根の中にある「毛乳頭」が「毛細血管」を通じて血流によって多くの栄養成分や酸素と共にホルモンなどの成長因子を送りこみ、「毛母細胞」が細胞分裂を促すことで「毛包」に新しい毛が作られ、頭皮の外に押し出されることによって成長していきます。髪の毛が正常に成長している時は、外からは見えない頭皮の下に隠れた「毛母細胞」が活発に細胞分裂を繰り返しています。そして、その「毛母細胞」の細胞分裂を促すためには、毛乳頭から毛細血管を通じて栄養成分や酸素と共にホルモンなどの成長因子が送り込まれる必要があります。この栄養成分、酸素、成長因子を「毛母細胞」に届ける役割を担っているのが「血液」で、頭皮の血行を良好に保つことが重要です。
「ガム」の育毛効果とは
勘の良い方ならお気づきだと思いますが、「ガム」を繰り返し噛むことによりコメカミや顎を動かすことになるので、血行が促進されます。「ガム」には血行促進以外にも期待できる育毛効果があるので併せてご紹介します。
咀嚼による血行促進効果
人は食べ物を咀嚼する際に顎やコメカミを動かします。この顎やコメカミを動かすことで、頭皮自体も動き、頭皮マッサージと似た効果を得ることが出来ます。しかし、現代人は昔の人に比べると咀嚼が苦手な人が増えてきた傾向にあるそうで、食事の際の咀嚼回数が減っているとのこと。そこで、ガムを噛むことで、自然に咀嚼回数を増やすことができ、頭皮全体の血行を促進することが出来るのです。
唾液の分泌による育毛効果
現代人は昔の人に比べると咀嚼が苦手な人が増えてきた傾向にあり、食事の際の咀嚼回数が減っているとお伝えしましたが、咀嚼の回数が減っているということは、唾液の分泌量が減っているということにも繋がります。分泌された唾液を飲み込むことで、胃の中で「遊離シアル酸」という物質が発生します。この「遊離シアル酸」という物質が胃の知覚神経を刺激することで、ヘアサイクルの成長期を長くして退行期を短くするなどの効果をもった「IGF-1（インスリン様成長因子-1）」という物質が生成されます。
インスリン様成長因子-1（IGF-1）は、育毛効果や美肌作用、生活習慣病予防作用、抗うつ作用、および認知機能改善作用などの重要なアンチエイジング作用を持っています。しかし、安全にIGF-1を増やす方法は、これまでに、見つかっていませんでした。これまでの血液学の研究成果から、頭皮や胃腸の知覚神経を刺激すると、それぞれ、頭皮の毛根、および頭皮を含んだ全身のIGF-1が増加することがわかりました。この発見を応用して、胃腸の知覚神経を刺激する薬剤の投与や食餌成分の摂取、さらに頭皮の知覚神経を刺激する成分の頭皮への塗布などの新たな薄毛の治療方法を開発して、実際の治療に応用します。
胃腸の負担軽減と栄養の吸収効率のアップ
育毛のためには血行の改善が必要不可欠ですが、いくら血行が改善されても、その血液によって運ばれる栄養素が不足していては意味がありませんよね。摂取した食事は、口→胃→小腸→大腸と順番に通っていきますが、栄養素を吸収するのは小腸の役割だと言われています。なので、小腸にたどり着くまでに、食べた物の栄養を吸収しやすい状態にしなければいけないのですが、咀嚼をしっかりしていないと、大きな塊のまま小腸にたどり着いてしまうので栄養素を吸収しづらくなってしまいます。そこで大事なのが「口」でしっかりと噛むことなのですが、前述の通り現代人は昔の人に比べると咀嚼が苦手なので中々噛む回数を増やすことが出来ません。そこで、ガムを噛むことで咀嚼を習慣づけ、食事の際にも噛む回数を増やすことが出来るのです。しっかり噛むことで、食べたものが小腸にたどり着く頃には、栄養素を吸収しやすい状態になっており、効率よく栄養素を吸収することが出来るとともに、胃腸の負担を軽減することが出来ます。
江崎グリコのガムに育毛成分が！？
江崎グリコは、同社の販売するガムに含まれる成分である「POs-Ca（ポスカ）」が通常のカルシウムに比べて、頭髪を成長させる毛乳頭細胞の増殖促進効果があることを確認したと発表しました。また、スカルプケア市場に活用できると判断し、一部の化粧品メーカーに、サンプルの出荷も始めたそうです。
江崎グリコは独自素材のリン酸化オリゴ糖カルシウム「Pos-Ca（ポスカ）」素材を、頭皮（スカルプ）ケア市場向けに投入する。ポスカが通常のカルシウムに比べて、頭髪を成長させる毛乳頭細胞の増殖促進効果があることを確認し、スカルプケア市場に活用できると判断した。一部の化粧品メーカーに、すでにサンプル出荷を始めた。2016年度中にも、化粧品メーカーのスカルプケア関連の新製品への採用を目指す。
ガム製品の独自成分に育毛促進の効果があった！
この事実が確認された実験内容は明らかにされていませんが、江崎グリコは、自社の培養毛乳頭細胞実験で、ポスカと通常のカルシウムを培地に添加したところ、ポスカの方が1.5倍増殖を促進する効果があることが分かったとしています。また、毛髪成長関連遺伝子への影響についても解析し、育毛に関連するとされる因子の発現増加において約2倍の効果をもたらしたそうです。
ポスカの正式名称は「リン酸化オリゴ糖カルシウム」で、ジャガイモ澱粉から作られたカルシウムの一種です。ポスカはとても水溶性の高いカルシウムなので、ガムとして噛むと唾液に溶けだし、歯の再石灰化を促し、虫歯予防効果や初期の虫歯を治癒する効果を期待することが出来ます。また、肌を乾燥や刺激から保護するセラミドを生み出す効果もあるため、既に複数の化粧品メーカーがスキンケア製品に採用しているようです。
ポスカ配合のガムを噛んでも育毛効果は得られない
ここで注意したいのが、江崎グリコの発表では育毛効果を得るためには、ポスカを食べるのではなく、毛乳頭細胞の培地に添加する必要があるということ。ポスカが配合されたガムを噛んだからといって、毛乳頭細胞の培地に添加したことにはなりませんよね。このことから、江崎グリコは化粧品メーカーと共同で、ポスカ配合の育毛剤を開発しているようで、2016年度中にもスカルプケア関連の新製品の発売を目指すとのことです。
まとめ
どこの化粧品メーカーと共同で新製品を発表するかなどは明らかにされていませんが、発売された際には育毛業界の注目を集めることは間違いなく、2016年度中にも発売されるとのことなので、しばらく江崎グリコの発表から目が離せませんね。
