皆さんは、ストレスや強い恐怖を受けると、一晩で黒髪が全て白髪になるという噂を聞いたことはありませんか?ドラマ、アニメ、小説などで出てくる設定ですが、本当に一晩にして白髪になるなんてことがあり得るのでしょうか。今回は「一晩で真っ白になる」という白髪の噂を検証して行きたいと思います。
一晩で真っ白になった人物
一晩で髪の毛が真っ白になったと言われている人物の話は以下の様なものです。
マリー・アントワネット
マリー・アントワネット(マリー・アントワネット・ジョゼファ・ジャンヌ・ド・ロレーヌ・ドートリシュ)は、フランス国王ルイ16世の王妃で、フランス革命中の1793年10月16日に刑死しています。マリー・アントワネットは、ギロチンで処刑されるのですが、処刑を宣告された時、ショックのあまり一夜にして髪が真っ白になったという逸話が残されています。
李白
李白は、中国の盛唐の時代の詩人で、字は太白(たいはく)、号は青蓮居士。唐代のみならず中国詩歌史上において、同時代の杜甫とともに最高の存在とされており、奔放で変幻自在な詩風から、後世「詩仙」と称されています。そんな李白が「白髪三千丈」という詩で、愁いを募らせて白髪が三千丈(約9キロ)伸びた、という句を残しています。
花子とアン
「花子とアン」で、仲間由紀恵さん演じる葉山蓮子の髪が、息子の戦死を知り真っ白になったことがありました。「花子とアン」は、実際にあったことをモチーフにして作られた話で、蓮子のモデルとなった柳原白蓮さんも、御子息の戦死後、一夜で白髪になり、全盲になったと記されています。
登坂淳一アナ
登坂淳一アナは、NHKのアナウンサーで、和歌山局在籍中の1998年7月に起こった和歌山毒物カレー事件の取材を担当しています。2006年12月(35歳の頃)、美容師から髪の傷みを指摘されたのがきっかけで、それまで使用していた白髪染めを中止したとのこと。以降、短期間で急に白髪が増えたように見えたことで、視聴者に驚きをもって受け止められ、インターネット上で話題になったり、週刊誌に取り上げられたりもしました。本人は白髪について、和歌山局在籍中は非常に多忙でストレスも感じていたところ、自分でも驚くほど増えていったと述べています。
あしたのジョー
「あしたのジョー」は高森朝雄(梶原一騎)原作、ちばてつや画による日本の漫画で、講談社の「週刊少年マガジン」に、1968年(昭和43年)1月1日号から1973年(昭和48年)5月13日号にかけて連載されていました。漫画の最後にジョーが「真っ白に燃え尽きる」シーンがあります。白髪になる訳ではないのですが、漫画を読んで育った世代の多くは、真っ白になると聞くと、「あしたのジョー」を思い浮かべるようです。
北斗の拳 レイ
レイは、漫画『北斗の拳』に登場する、架空の人物で、激痛に耐える過程で髪の毛が真っ白になるシーンがあります。
本当に一晩で真っ白になることはあるのか
髪の毛の色は「メラニン色素」が髪の毛に供給されることによって決定されます。メラニン色素」が供給される前の、作られてすぐの髪の毛はすべて白い髪の毛なのですが、既に生えている黒髪は「メラニン色素」よって黒色が着色されている状態ということになります。既に着色されている髪の毛は、脱色でもしないかぎり色が変わることはありません。また、髪の毛というのは毛根は生きていますが、その先は全て既に死んでいると言われています。ですので、ストレスや恐怖などの生理的反応が、髪の毛に影響を及ぼすとは考えにくいのが事実です。
結論から言ってしまうと、現在解明されている髪の毛のメカニズムでは、髪の毛が一晩で真っ白になることは考えられません。上記のような逸話は、ショックの大きさを表すために「一晩で真っ白に」という表現が用いられ、何かしら尾ひれの付いたものだと考えるのが妥当ではないでしょうか。
まとめ
出来る事ならいつまでも白髪のない黒々とした髪でいたいものです。白髪の原因には加齢、遺伝、ストレス、栄養の不足、生活習慣、病気などが関係していると言われているので、白髪を予防するためには日頃の生活から気を付ける必要があります。近年では白髪にどのような成分が関係しているのかなど、そのメカニズムがかなり解明されつつあるので、近い将来「完全に白髪を防ぐことが出来るようになる」かも知れませんね。