独特の香りの「シナモン」には、高い育毛効果があるのをご存知でしょうか。シナモンが持つ毛細血管の向上機能の研究が進み、すでに研究結果も発表されています。
髪の毛が生えるメカニズム
育毛とシナモンの関係を知るためには、まず髪の毛が生えるメカニズムを知ることが大切です。髪の毛は人間の皮膚が変化して出来たもので、大きく分けて下記の2つに分けられます。
毛幹
「毛幹」は頭皮から外に出ている部分のことで、毛幹の中央には「毛髄質(もうずいしつ)」があり、うろこ状の「毛小皮(キューティクル)」が重なってできている「毛皮質(もうひしつ)」に包まれています。この「毛幹」は、約18種類のアミノ酸が化学結合して構成されています。しかし、「毛幹」には血管が通っておらず、その細胞を見ても核がありません。ですので、傷ついても再生する能力がなく、カラーリングやパーマなどでダメージを受けた「毛幹」を元に戻すことは現状では不可能とされています。
毛根
「毛根」は頭皮の中にあって表面に出ていない毛の部分のことです。髪の毛は毛根の中にある「毛乳頭」が「毛細血管」を通じて血流によって多くの栄養成分や酸素と共にホルモンなどの成長因子を送りこみ、「毛母細胞」が細胞分裂を促すことで「毛包」に新しい毛が作られ、頭皮の外に押し出されることによって成長していきます。髪の毛が正常に成長している時には、外からは見えない頭皮の下に隠れた「毛母細胞」が活発に細胞分裂を繰り返しているということなのです。このように、健康な髪の毛が育つためには「毛根」が必要であり、その「毛根」の中の「毛乳頭」が「毛細血管」を通じて栄養成分や成長因子を送ることによって「毛母細胞」が活発に細胞分裂を繰り返し髪の毛が正常に成長するのです。
血流血管不健康状態とは
近年では「AGA(男性型脱毛症)」の原因は「DHT(ジヒドロテストステロン)」というのが一般的に知られており、その「DHT」の発生原因である「5αリダクターゼ」を抑制するというのが「AGA」の主な治療法となっています。しかし、薄毛には「AGA」以外もあり、その殆どの薄毛の原因で頭皮の血流環境の悪化や毛細血管の硬化が影響しています。毛細血管の硬化などによる血流環境の悪化には個人差がありますが、食事の欧米化や不規則な生活習慣が背景にあると言われています。したがって、昔に比べて近年では、若年時から血管が傷み、血流環境が悪化してしまう傾向にあります。
上記の映像は健康な毛根と周囲の血流状況を100倍ほど拡大したもので、この動画を見れば毛根周辺の血管がいかに細いかがわかると思います。元々、毛細血管はこんなに細いのですから、血管が硬化したり血液がドロドロになってしまっては、髪の毛に栄養素を運ぶ血液が簡単に毛根部分まで届かなることは容易に想像できるのではないでしょうか。薄毛を改善するためには、食生活、生活習慣の改善が重要だということはよく言われますが、その理由にはこういった毛細血管が関係しているのです。また、ストレスでも血管が収縮し、血流環境が悪化してしまうことがあります。なお、頭部の側面が薄毛になりにくいのは、毛細血管ではなく太い血管が通っているので、血流量が多く毛根まで栄養成分が届きやすいからだと言われています。
シナモンで毛細血管機能が向上
シナモンは熱帯に生育するクスノキ科の常緑樹で、その樹皮は古くから香辛料として使われています。生薬として用いられるときには桂皮(ケイヒ)と呼ばれています。特徴的な香りで「スパイスの王様」ともいわれています。
資生堂がソウル大学と共同で、20~80代までの皮膚毛細血管を調べたところ、30代までの皮膚毛細血管は正常な二層構造だったそうですが、それに対し40代後半では壁細胞がはがれて二層構造が維持できていない毛細血管がしばしば見られたそうです。そこで、機能低下した毛細血管の機能を回復させるために、皮膚毛細血管に「ケイヒエキス」を適用したところ毛細血管の機能を回復させることに成功したとのことです。
加齢によって減少する活性化「Tie2(タイツー)」の量を増加させ、皮膚毛細血管の機能を正常化させる成分を開発すべく200種以上の天然由来成分を探索した結果、「ケイヒ(桂皮)エキス」にその効果があることを世界で初めて発見しました。皮膚毛細血管に「ケイヒエキス」を適用すると、「Tie2(タイツー)」を活性化し、過度なもれを回復させることを確認しました。
出典: 資生堂、加齢による皮膚毛細血管の機能低下が皮膚老化に関与していることを解明 低下した皮膚毛細血管の機能を回復させる成分「ケイヒエキス」を開発(PDF)
この研究結果から毛細血管機能を向上させるために「シナモン」が有効であるということが証明されました。毛細血管機能が向上するということは、毛細血管と深く関わっている薄毛や抜け毛の改善にも効果的だということになります。
シナモンの摂り方
シナモンといえば、紅茶やコーヒーと一緒に飲む楽しみ方が一般的です。スプーン代わりにしてかき混ぜ、シナモンの香りを紅茶やコーヒーどに移して飲みます。シナモンは単体ではあまり美味しくはありません。そこでオススメしたいのが「シナモンシュガー」です。お菓子を作ったりする人ならよく知っていると思いますが、シナモンシュガーはスーパーなどでも普通に売られています。砂糖と混ぜてあるシナモンシュガーであれば、シナモンの香りと砂糖の甘さで美味しく食べることが出来ます。トーストに振りかけてシナモントーストにして召し上がってはいかがでしょう。ただし、糖分の摂り過ぎは血流環境にとって良くありません。シナモンシュガーを選ぶ際の注意点としては、砂糖が出来るだけ少なめの甘すぎないシナモンシュガーを選ぶことが大切です。
また、シナモンを毎日過剰摂取してしまうと、お腹を下してしまったり、肝機能に障害がでることもあるので大量に食べればいいというものでもありません。毛細血管機能の向上が期待できるシナモンの1日の摂取量は0.6gだといわれているので、毎日少しずつ食べ続けるようにするといいでしょう。