「カプサイシン」と「イソフラボン」を一緒に食べると髪が生える!というハゲに悩んでいる方にうれしい研究が、2004年に名古屋市立大学の「岡嶋研二」教授によって発表されました。「カプサイシン」と「イソフラボン」を摂取することで、成長因子「IGF-1」が増え、育毛にも効果を期待することが出来るという研究発表でした。しかしその後、研究結果を発表した「岡嶋研二」教授は、2012年3月に名古屋市立大学から、画像の差替えや意図的な画像の加工などの”研究の不正”により停職6ヶ月の処分を受けました。
さらに、同じ研究グループに所属していた原田准教授は懲戒解雇の処分を受けました。「カプサイシン」と「イソフラボン」についての論文のどこを捏造していたのかは定かではありませんが、大学が捏造を認めたことにより「カプサイシン」と「イソフラボン」による成長因子「IGF-1」の増加効果については真偽が疑わしくなりました。では「カプサイシン」と「イソフラボン」は本当に効果が無いのでしょうか?
「カプサイシン」と「イソフラボン」の育毛研究について
研究結果で発表された「カプサイシン」と「イソフラボン」の組み合わせで、成長因子「IGF-1」が増加し、育毛に効果を及ぼすとされた理論とはどういったものだったのでしょうか。
- 「カプサイシン」と「イソフラボン」の組み合わせを摂取
- 毛根の知覚神経が刺激される
- 「CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)」が分泌
- 成長因子「IGF-1」が分泌
- 育毛
「カプサイシン」を摂取すると、胃の知覚神経が刺激され、胃からの刺激を受けた脳は毛根周辺の知覚神経も刺激します。
毛根周辺の知覚神経が刺激されることによって、血管の拡張、心筋収縮力の増大、心拍数の減少などの作用がある「CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)」という成分が分泌され、「CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)」の作用により頭皮の血流が良くなり、育毛に繋がるということなのです。
さらに、「CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)」には、成長因子「IGF-1」を増加させる作用もあり、「CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)」によって増加した「IGF-1」が毛母細胞を刺激して発毛を促進するので、さらに高い育毛効果を期待することができます。
また、「イソフラボン」には「CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)」の分泌を促進する作用があるので、「カプサイシン」と組み合わせて摂取することによって、より高い育毛効果を期待することが出来るのです。
これが本当なら、どれだけ画期的な研究になったことでしょうか…
「発掘あるある大辞典」でブレイク
「岡嶋研二」教授による「カプサイシン」と「イソフラボン」の研究結果が世間に知られるようになった背景には、2006年8月6日に放送されたテレビ番組「発掘あるある大事典」があります。(のちに捏造問題で放送打ち切りになってしまった伝説の番組)
「発掘あるある大事典」の番組内では「カプサイシン」と「イソフラボン」による育毛効果や、実際に「カプサイシン」と「イソフラボン」の組み合わせを試した人について紹介されており、6ヶ月後の比較として薄毛がかなり改善した写真が紹介されていました。
「発掘あるある大事典」で紹介されたのを皮切りに、一気に世間にも「カプサイシン」と「イソフラボン」の組み合わせによる育毛効果が認知されました。
その後「ダブルインパクト」という、1粒あたり1mgの「カプサイシン」、1粒あたり25mgの「イソフラボン」を配合した育毛サプリが発売されました。1箱(1ヶ月分)で10,800円と高額ながらも30万本以上も購入されています。このサプリの開発者がなんと岡嶋研二教授なのです。
さらに、岡嶋研二教授は「唐辛子(カプサイシン)」と「豆腐(イソフラボン)」の組み合わせによる育毛効果に関する本を10冊近く執筆し発売しています。
「岡嶋研二」教授は本の中でも、「カプサイシン」と「イソフラボン」の組み合わせが、成長因子「IGF-1」を増加させるのに最適な組み合わせだとし、その「カプサイシン」と「イソフラボン」を含む食品として「唐辛子」と「豆腐」を挙げています。
「カプサイシン」と「イソフラボン」に育毛効果はないのか
「岡嶋研二」教授が発表した研究結果の内容には、画像の差替えや意図的な画像の加工などの捏造があったとされていますが、「カプサイシン」と「イソフラボン」の組み合わせによる育毛効果に関しては否定されていないことから全く信用出来ない研究結果とは言い難くなっています。
カプサイシン
「カプサイシン」とは、唐辛子に含まれている辛味成分のことで、エネルギーの代謝に関係するホルモンの分泌を促進する作用があるので、脂肪の燃焼や、肥満の予防に効果があると言われています。
唐辛子などの辛いものを食べると汗が吹き出すことがありますが、あれは「カプサイシン」がエネルギーの代謝に関するホルモンの分泌を促している証拠で、「カプサイシン」によってエネルギーの代謝が活発になることで、身体が温まり、血流が促進されると言われています。また、「カプサイシン」には、疲労回復、便秘解消、高血圧の予防などの効果もあると言われています。
ご存じの方も多いとは思いますが、髪の毛が太く丈夫に成長するのに欠かすことのできない栄養素は血管を通って血液が運んできてくれます。血液は心臓がポンプの代わりをして身体全体に送り出されているのですが、頭皮や足先などの心臓から遠い部分にはどうしても栄養素が運ばれにくくなってしまいます。そこで、血行や血流を促してあげることで、心臓から遠い部分にも十分な血液が行き渡るようになり、頭皮などにも必要な栄養素がしっかりと届くようになります。
前述のとおり「カプサイシン」には、血流を促してくれる効果もあるので、「カプサイシン」が必ずしも育毛に効果を及ばさないとは言い切れないのです。
また、アデランスの世界薄毛調査によると、唐辛子の成分である「カプサイシン」を含む「キムチ」などを多く食べているであろう韓国人は、日本人と比べると明らかに薄毛率が低いという結果も出ています。
「カプサイシン」の副作用
「カプサイシン」は唐辛子に含まれている成分で、植物由来の成分なので、比較的安全性は高く副作用は少ないのですが、過剰に摂取してしまうと副作用を引き起こしてしまいます。
- 胃や腸などの荒れ
- 腸内環境の乱れ
- 睡眠障害や精神疾患などの火病
- 肌荒れ
これらの副作用は、かなりの量の「カプサイシン」を一気に摂取しないと引き起こされることはないのですが、唐辛子の含まれた料理などを頻繁に食べる方などは注意しておいたほうがいいでしょう。また「カプサイシン」には「体重1kgあたり60mg」を一度に摂取すると、命に関わるという明確な致死量も定められています。過剰摂取には気をつけましょう。
イソフラボン
「イソフラボン」は、豆科の植物に多く含まれている植物性ポリフェノールのことで、特に大豆には多くの「イソフラボン」が含まれています。
「岡嶋研二」教授の研究では「カプサイシン」をサポートする役割を持っていた「イソフラボン」ですが、実はその育毛効果は高く、女性ホルモンの「エストロゲン」と似た働きをして、男性ホルモンの「テストステロン」が過剰に分泌するのを抑制してくれるので、「AGA(男性型脱毛症)」や「壮年性脱毛症」の原因である「DHT(ジヒドロテストステロン)」が減り、薄毛や抜け毛などハゲの改善に繋がります。
イソフラボンの一日の摂取目安量
「イソフラボン」は「カプサイシン」の様な副作用はないのですが、厚生労働省の食品安全委員会によって安全な1日の上限摂取目安量が定められており、味噌、納豆、豆腐、豆乳などの食事で摂取する際には気にすることはありませんが、サプリメントで「イソフラボン」を摂取する際には食事で摂取するよりも圧倒的に吸収率が高いので注意が必要です。
「イソフラボン」の1日の上限摂取目安量は75mgと定められていますが、1日当たり30mgまでの摂取が望ましいとのことで、「イソフラボン」の吸収率は個人差がありますが、「納豆1パック(50g)で65mg」「みそ汁(18g)で7.2 mg」「大豆飲料(125ml)で69mg」「豆腐1/2丁(110g)で55 mg」というのが摂取量の大凡の目安となっています。
また、植物性ポリフェノールである「イソフラボン」には、「抗ヒスタミン作用」や「抗酸化作用」などもあり、花粉症などのアレルギーの原因となる「ヒスタミン」を抑制してくれる他、ガンや動脈硬化の原因となる「活性酸素」の発生も抑えてくれます。
また、「活性酸素」には細胞の老化を進める作用もあるので、「活性酸素」の発生を抑制してくれる「イソフラボン」には老化防止効果もあるのです。
「イソフラボン」単体で見るとサプリメントで摂取するのが一番効率がいいのですが、大豆には「イソフラボン」以外にも、髪の毛の材料となる「植物性タンパク質」、育毛にとっても重要な毛細血管を太くする作用のある「ビオチン」などの栄養素も豊富に含まれていますので、出来ることなら食事によって摂取するといいでしょう。
この様に「岡嶋研二」教授による「カプサイシン」と「イソフラボン」の研究結果は、残念ながら捏造ということが判明しましたが、「カプサイシン」と「イソフラボン」に育毛効果を全く期待することができないというわけではありません。薄毛や抜け毛などの悩みを抱えている方は積極的に「カプサイシン」と「イソフラボン」を摂取していくようにしましょう。
「カプサイシン」と「イソフラボン」より、さらに育毛効果が期待できるベストな組み合わせは?
「カプサイシン」「イソフラボン」で育毛を考えるよりおすすめの組み合わせが「ミレットエキス」と「コラーゲン」です。
「ミレット」とは、穀物のキビのこと。キビは日本でも古くから五穀の一つとして親しまれてきた食糧で、昔話の桃太郎さんの”きび団子”でも有名ですよね。『ミレットエキス』は、キビから抽出した天然成分で、ヨーロッパでは中世の頃から髪の元気に関わる成分として、頭皮に直接塗ったり、そのまま食べたりと親しまれてきた成分です。
髪の90パーセントを占める主成分はケラチンというタンパク質です。 ケラチンは18種類のアミノ酸から生成され、 人間の体内では作りだ せない必須アミノ酸の仲間も含まれています。ミレットエキスにはこれらの含硫アミノ酸が含まれているため、 “髪の材料”となる成分がたっぷり含まれているのです。
そして「コラーゲン」は、人間の体を構成するたんぱく質の一種で、肌の弾力性や保水力を保つ大事な働きをしています。
毛髪は毎日成長を続けていますが、ちょうど植物が大地に下ろした根から養分をとるように、皮膚の真皮層から栄養分を摂取します。つまり、真皮層のコラーゲンが元気でたっぷりあれば、毛髪の栄養分が十分に供給されるため、毛髪は太くツヤツヤしてくるのです。コラーゲンをたっぷり摂ることで真皮を活性化すれば毛髪を太くし、白髪や抜け毛を防ぐために大きな効果が期待できるのです。
「頭皮と髪」は「大地と植物」の関係と似ており、元気な植物が育つにはまず健康な大地が必要なのです。柔らかく栄養たっぷりの土壌でしっかりと根をはった植物は簡単に枯れたりはしません。なので頭皮を活性化するコラーゲンと、髪の栄養がたっぷりのミレットエキスとの組み合わせは、元気な髪が育つための最強の取り合わせなのです。
まとめ
- 「カプサイシン」は、髪に栄養を届ける血液の血行や血流を促す効果がある。
- 「イソフラボン」にはAGAや壮年性脱毛症の原因DHTが減り、ハゲを改善する効果がある。
- 「カプサイシン」「イソフラボン」は過剰摂取はNG。一日の摂取量に気をつける。
- 大豆には「イソフラボン」以外にも育毛にかかせない成分が入っているので、出来るだけ食事で摂取するよう心がけよう。
- 「カプサイシン」+「イソフラボン」よりさらに効果が期待できるのが「ミレット」+「コラーゲン」