薄毛の原因には様々なものがあり、大抵の場合は複数の原因が重なった末に薄毛になってしまいます。ですので、薄毛にならないためにはいくつもある薄毛の原因を一つでも減らすことが重要になってきます。そんな複数ある薄毛の原因の中でも意外と知られていないのが「直射日光」によるものです。
直射日光の「紫外線」が頭皮に与えるダメージ
皮脂の過剰分泌
頭皮が紫外線によってダメージを受けると、ダメージを受けた頭皮を守ろうとして皮脂が過剰に分泌されてしまいます。また、紫外線を浴び続けることによって、活性酸素が溜まってしまい、頭皮の保湿力が落ち、その結果として皮脂の過剰分泌を招いてしまいます。
皮脂は頭皮を守るために存在しているのですが、過剰に分泌されてしまうと毛穴詰まりの原因となってしまいます。頭皮の毛穴が詰まってしまうと、細菌などの増殖に繋がり、薄毛の原因にもなってしまうのです。さらに、毛穴に皮脂が詰まっていると、生えてきた髪の毛も育ちにくくなり、細くて弱い髪の毛になってしまいます。
毛穴にまでダメージ
人間の毛穴の奥には髪の毛にとって重要な「毛乳頭」や「毛母細胞」などがあります。紫外線を浴び続けることによって、皮脂が過剰に分泌されるだけでなく、この毛穴にまでダメージを与えてしまいます。毛穴が傷んでしまうと「毛乳頭」や「毛母細胞」などが傷ついてしまい、徐々に髪の毛を生やす機能が失われていきます。
一度や二度のダメージであれば自ずと再生しますが、何度も何度も繰り返しダメージを受けていると、再生機能も失われていき、最終的にその毛穴からは髪の毛が生えなくなってしまいます。
また、身体のサビとも言われている「活性酸素」が溜まってしまうことによっても毛穴はダメージを受け、髪の毛が育たなくなったり、髪の毛が生えてこなくなったりしてしまう可能性があります。
頭皮や髪の毛が乾燥
頭皮が紫外線を浴び続けることによって、ダメージを受けた頭皮を守ろうとして皮脂が過剰に分泌されてしまうことは分かっていただけたかと思います。ですが、紫外線を浴び続けることによって、逆に頭皮や髪の毛が乾燥してしまうこともあるのです。
頭皮や髪の毛が乾燥してしまうと、潤いがなくなったことにより表面の角質が剥がれ、髪の毛の再生に悪影響を与えてしまいます。また、紫外線を長時間浴びることによって、髪の毛の素となる「タンパク質」の破壊、キューティクルの破壊、黒髪の素となる「メラニン色素」の破壊を引き起こしてしまいます。
特にキューティクルの破壊は抜け毛につながります。キューティクルは髪の毛を守っているものなので、紫外線を浴びてキューティクルが破壊され、さらに髪の毛が傷みやすくなりと負のスパイラルに陥ってしまうのです。
紫外線のダメージ対策
直射日光による紫外線は、外出している以上どうしても浴びてしまうものです。しかし、そこで諦めるのではなく、少しでもダメージを和らげるように以下のことに注意しましょう。
3つの日焼け防止対策
- 帽子や日傘を使う
- 紫外線ケア(UVケア)用品を使う
- 紫外線の強い時間の外出を避ける
帽子や日傘を使う
たかだか帽子や日傘だと侮っているかもしれませんが、帽子や日傘を使うのと使わないのとでは、頭皮が浴びる紫外線は倍以上も違うと言われています。
帽子の場合は、髪の毛をすっぽりと覆えるタイプのもので、つばの長さが7cm以上あり、天然素材のものを選ぶと頭皮が蒸れにくくオススメです。
日傘の場合は、できればUVカット加工のものを選ぶと、より紫外線の量を少なくすることが出来ます。
紫外線の強い時間の外出を避ける
1日のうちで紫外線が最も強いのは午前10時から午後2時頃だと言われています。出来る限りその時間の外出を避け、なるべく強い紫外線を浴びないようにしましょう。もし外出する場合は、日が出ているうちは紫外線が降り注いでいるので、帽子や日傘を使うなどして、紫外線対策を怠らないようにしましょう。
紫外線ケア(UVケア)用品を使う
太陽は365日24時間存在し続けているので、たとえ冬場であろうと、曇っていて太陽が出ていなかろうと、外出している限り人間は紫外線を浴び続けています。晴れの日を100%だとすると、曇っている日でも60%の紫外線を浴びているのです。
完全に肌の日焼けを避けようと思えば、冬でも常に日焼け止めを塗っておかなければいけません。もちろん頭皮も同じで、冬場であろうと、曇っていようと、外出する以上は常に紫外線ケア(UVケア)を気にする必要があります。
腕や脚などの肌であれば日焼け止めを塗ることが出来ます。最近では、頭皮や髪の毛用の紫外線ケア(UVケア)用品もちゃんと存在しており、まだまだ品揃えが少ないものの「UVカットスプレー」などがあります。
3つの日焼けダメージ対策
- トリートメントで髪の毛のダメージをケア
- 育毛剤、コンディショナーで頭皮ケア
- 紫外線を多く浴びた日は頭皮に負担をかけない
トリートメントで髪の毛のダメージをケア
紫外線を浴び続けてしまうと髪の毛を守るキューティクルが破壊されたり、日焼によりかんそうした状態になっています。1日の終りにはトリートメントをしっかりとし、キューティクルを整え、髪の毛の潤いを取り戻すことが重要です。
育毛剤、コンディショナーで頭皮ケア
紫外線は髪だけではなく頭皮にも容赦ありません。頭皮が日焼けすると炎症を起こしたり、乾燥したりとダメージを受けます。ですので、シャンプーした後のコンディショナーや育毛剤による保水、保湿は大切です。頭皮の潤いを取り戻して髪にいい環境を整えましょう。
紫外線を多く浴びた日は頭皮に負担をかけない
長時間強い紫外線を浴び続けると、頭皮が敏感になってしまいます。頭皮が敏感になってしまうと、ちょっとしたことでも頭皮に負担がかかってしまい薄毛の原因となってしまいます。ですので、紫外線を長時間浴びてしまった日は、お湯は避け、ぬるま湯か冷たすぎない水で髪の毛を洗うようにしましょう。また薄毛対策をしている方は、ブラッシングやマッサージをしたくなってしまうかもしれませんが、逆効果となってしまう可能性があるので、やめておいたほうが良いでしょう。
紫外線ケア(UVケア)用品の選び方
紫外線ケア(UVケア)用品を選ぶ際に重要な目安が「SPF」と「PA」という値になります。数字が大きい方が、「+」が多い方が紫外線をカットしてくれるんじゃない?と単純に購入してしまいがちです。ここでは「SPF」と「PA」についてちょっと詳しく解説したいと思います。
日焼け止めの「SPF」と「PA」ってなに?
SPF
SPFとは「Sun Protection Factor(サン プロテクション ファクター)」の略で、紫外線防御指数などとも言われており、UVB波の防止効果を表す指標になります。
SPFは「SPF20」や「SPF30」などという表記のされ方で、紫外線(B波)を浴びてから日焼けの症状が出るまでの時間を◯倍遅らせるという意味になります。
例えば「SPF30」の場合は、紫外線を浴びてから日焼けが始まるまでに20分かかる人が「SPF30」の紫外線ケア(UVケア)用品を使うと、20×30で600分日焼けを遅らせる効果が期待できるということになります。
このSPFの値は測定方法に限界があるため、現在の日本では「SPF50+」が上限となっています。
PA
PAとは「Protection Grade of UVA(プロテクション グレイド オブ UVA)」の略で、UV-A防御指数とも言われており、UVA波の防止効果を表す指標となります。
PAは「PA+」から「PA++++」まで4段階の表記があり、紫外線(A波)の防止効果の高さを表しています。もちろん「+」が多い「PA++++」が最大値で、それぞれ「効果がある」「効果がかなりある」「効果が非常にある」「効果が極めて高い」と分けられています。
日焼け止めはどれがいいの?
これらのPAとSPFの値は、紫外線ケア(UVケア)用品を1平方センチメートル当たりに2mgずつ皮膚に塗ったときの値となっており、日焼け止めを必要以上に薄く伸ばしてしまうと、その分効果が薄まってしまいます。
また、これらの値の高い紫外線ケア(UVケア)用品は、高ければ高いほど肌への負担も大きくなってしまいますので、紫外線の強い季節、弱い季節、外出先などに合わせて選ぶようにしましょう。
SPFとPAの値の目安としては、個人差があるものの大体下記のようになっています。
環境 | SPFの目安 | PAの目安 |
---|---|---|
日常生活 | SPF10 | PA+ |
屋外での軽いレジャー・スポーツ | SPF20 | PA++ |
炎天下やリゾート地でのレジャー・マリンスポーツ | SPF30 | PA+++ |
真夏の炎天下や紫外線に過敏な人 | SPF50 | PA++++ |
これらはあくまでも目安となっており、肌には個人差があるので、目安を参考に自分の肌にあった紫外線ケア(UVケア)用品を選ぶようにしてください。
面倒くさいからといって、PAとSPFの値が高い紫外線ケア(UVケア)用品ばかりを使っていると、それだけで頭皮や髪の毛がダメージを受けてしまい、紫外線を浴びた時以上に薄毛を進行させてしまう可能性があるので気を付けましょう。
紫外線ケア(UVケア)用品をつかって紫外線を防いでいたとしても、頭皮や髪の毛はダメージを受けて敏感になっているので、お湯は避け、ぬるま湯か冷たすぎない水で髪の毛を洗うなどのケアは怠らないようにしましょう。
また、紫外線ケア(UVケア)用品は、髪にダメージを与える成分が入ったものもあります。しっかりと洗い流すことも忘れないようにしてください。ただし、この時ゴシゴシ洗って頭皮や髪の毛を傷めないように優しく洗うよう注意しましょう。
紫外線対策は<年中無休>
紫外線は直射日光に含まれているので、直射日光が強くなる夏場が一番紫外線の量が多いと思っている方が多くいるのではないでしょうか。
実は紫外線が多くなるのは春から夏にかけてで、意外と紫外線量が多いのは”5月”と言われています。また冬も夏に比べると1/3、1/4と言われていますが、紫外線は降り注がれています。長時間あたるとそれだけ沢山影響を受けるのです。
ですので紫外線対策は年中無休。夏ではないからといって気を抜かず、外出時にはしっかりと紫外線対策をするようにしましょう。
まとめ
紫外線はお肌によくないのは周知の事実ですが、頭皮にもよくないことが分かっていただけたと思います。紫外線には日焼による炎症や乾燥、毛穴へのダメージ、皮脂の過剰分泌など薄毛につながる要素がたくさんあります。ですので、外出する際には「できるだけ紫外線を浴びないように」と努力するだけで、”薄毛へとつながる原因”を一つ減らせることができるのです。まずはご自分でできる対策をしてみてはいかがでしょうか。